癌・ギランバレー☆闘病記

がんと闘う父の記録

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  とはいえ簡単ではなかった。何件回ったかわからないが殆どの病院には断られ、やっと「ガンセンターと同じ環境ではないし、患者も環境が変り不自由を感じるだろうが、それでもいいなら入院を受け入れる」と言ってくれた病院を見つけた。それでも構わない。出来る限り父と一緒にいれば解決すると思った。 転院するという事で説明を受けていたが、その説明の中に、条件と言うものが含まれていた。それは、薬はガンセンターと同じものは用意が出来ないという事だった。ガンセンターで使っていた薬をこの病院へ持ってくるという事はできないらしい。どうしてなのかという質問には答えてもらえなかった。それともう一つ、看護師が人手不足で、ブザーを押しても直ぐ来ない事がある。それも承知してくれとも言われた。痛みを直ぐに取り除くための対応は難しい、といわれているのだ。
話をしているうちに、正直言ってここの病院にお世話にはなれない、と感じた。「父と相談してから改めて伺います」と病院を後にした。「ホスピスへ移るまでの間、違う病院に入院をさせてもらう」というのは、果たして父にとって最善の方法なのだろうか。確かに父は環境が変わってそんなに簡単になじめるとは思えないし、それがストレスになってはいけない。健康な人が宿泊するホテルを変わるかのように、父の入院先を変えるのが父にとっては良いのだろうか?看護を受ける患者にとって、馴染んだ顔の看護師さん、信頼する主治医、慣れた部屋を変えるという事は負担になる可能性があると知った。そして父のような患者を簡単に受け入れてくれる病院も少ないという事も知った。
 父には結果を話せず、でも病院も見つからず途方にくれてしまう。しかし、ガンセンター側はベッドの都合があるので「いつ転院できますか」と聞いてくる。仕方なく看護師長さんに現状を話し、努力をしているところだと伝えた。そして父のために転院がいいかどうか悩んでいるとも伝えた。すると看護師長さんも同じ考えで「先の事は今すぐに考えなくてもいいです。お父様が負担になるようではいけませんから」と言ってくれた。本当に嬉しい言葉だった。話をしていたのは病室の廊下だったので父が看護師長さんと長話をしている私の様子を見に来た。「いつまでも看護師長さんをひっぱっていていいのか」と言う。看護師長さんと私が何を話しているのかが気になったのだろう。私は正直に父に話した。父は「俺はここがいい。最高の治療と、最高の看護師さんがいるから、安心できるんだ」と言った。父の本音だと思う。ずっと遠慮をしていたために、言えなかったのだろう。この時、父の本音を聞けた事は良かったと思う。そうでなければ、父はきっと我慢をしてどんな病院であろうと転院をしていたかもしれない。やはり、病院の都合、自分の都合で患者を動かすことはどんな意味があるのかを考えなくてはならないと思う。
 看護師長さんが「最高だなんてありがとうございます。私たちは患者さんがいい治療をうけられるように努力をしていますが、とても励みになるお言葉です」と言われた。私も、いい治療を受けられる環境を作る事を重視しようと思う。
 父が部屋に戻った後「痛みの治療で入院をされているのですから、痛みが取れていない今、急いで転院を考えなくてもいいですよ」と言って下さった。そして「今は一番状態がいいときです。これから良くなる事は無いかもしれません。そうなると痛みが無くて、体調も気力もあるうちに家に帰らせてあげてください。いつ体調に変化があってもおかしくない状態ですから」と最期に言われた。
 父に話すと、欲しいものがあるから家に帰りたいと言う。早速一時帰宅をすることにした。
 

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